抄録
志津川湾はカキ,ワカメ,ホタテガイ,ホヤ,ギンザケの養殖が盛んな海域であるが,東日本大震災の津波により養殖施設がほぼ全損し現在も復旧途上にある.本研究では,志津川湾流域の土地利用変化に伴う流入負荷量の変化を組み込んだ陸域-海域統合数値モデルを構築し,漁業者の収益や海域の生産性を損なうことなく,環境への負荷も少ない将来の最適養殖量の解析を行った.その結果,カキ養殖筏の台数を震災前の約1/3で維持し,湾奥部のワカメ養殖筏台数を現在の約3/4に削減することが,最も生産性を高め環境への負荷の少ない養殖量であることが示された.また,湾全体の基礎生産速度と栄養塩回転率は,震災前に比べるとそれぞれ約1.4倍,約4.5倍に増加しており,適正な養殖の実施により,湾内の栄養塩が効率的に再生産に利用されることが示唆された.