2018 年 74 巻 2 号 p. I_1303-I_1308
本研究は,徳島県で希少種ルイスハンミョウが唯一生息する吉野川河口干潟において,その地形変動と本種幼虫の生息地の変化の解明を目的としている.そこで,本干潟の長期間にわたる地形測量と幼虫確認調査のデータを解析し,本干潟の近年の地形変動と本種幼虫の生息地の変化,それらの特徴や関連性について研究を行った.その結果,本干潟では多様な地形変動が起きており,堆積により形成された潮間帯にルイスハンミョウ幼虫の新しい生息地ができることや,幼虫の巣孔が存在し続けた場所は変動の小さな場所であることが確認された.以上のことから,ルイスハンミョウの個体群が維持されるためには,新しい生息地が形成されること,または地形変動の影響を受けず生息地として機能する場所が長期間存在することが必要であることが示唆された.