2018 年 74 巻 2 号 p. I_1417-I_1422
本研究では,干潟健全度指数(THI)を大阪湾湾奥の4つの干潟へ適用し,THIの汎用性の確認を行うとともに,東京湾の4つの干潟との比較から,各干潟における特徴の把握を行った.その結果,大阪湾においても各干潟のTHIの得点がそれぞれ合理的に説明され,THIの汎用性が示された.ただ,場の利用に関するデータが少なく,THIの汎用性を向上させる上での一つの課題であることも明らかとなった.また,大阪湾と東京湾の8干潟のTHIを用いて主成分分析を行ったところ,東京湾・大阪湾の違いおよび自然・造成干潟の違いによる系統的な差は現れなかった.各干潟をサービスの特徴(人の利用度,場の自然度,生物の現存量,生物の種数)から整理し,両湾および自然・造成干潟の違いを超えて類型化した.