2018 年 74 巻 2 号 p. I_223-I_228
2011年に発生した東北地方太平洋沖地震津波による海岸堤防の主な被災要因として知られる堤防裏法尻の洗掘について,その津波減勢効果に着目し,先行実験に基づくモデル化を行うとともに,これを組み込んだ数値計算によりその減災効果について検討した.堤防高さにより正規化した洗掘幅は同じく堤防高さにより正規化した越流水深に応じて変化し,複数の異なる条件の実験結果について1つの曲線により良好に近似できる.洗掘幅の時間発展についても移動床実験結果に基づいてモデル化し,得られた洗掘幅に対し,洗掘深の洗掘幅に対する比率を与えることで洗掘深の計算を行う方法を提案した.また,洗掘深とエネルギー減衰率の関係も定式化することで,平面的な津波数値計算にその影響を取り入れ,数値実験によりその減災効果について検討を行った.