2018 年 74 巻 2 号 p. I_289-I_294
水理模型実験を実施し,津波による越流が生じる防波堤の港内側マウンド被覆ブロックの被災メカニズムと安定性能を調べた.被災パターンは,ブロック群全体の滑動,ブロック単独の転倒,浮き上りのほか,被覆ブロックは安定であるものの捨石マウンドが崩壊する場合もあることを確認した.これら被災パターンのうち,マウンド法肩のブロック単独の転倒による被災に着目し,ブロックに作用する流体力とモーメントの分力計を用いた直接計測とブロック周辺の流況計測を行ない,越流水深に対する定量的な変化特性を調べた.ブロックの転倒は,転倒の起動力となる転倒モーメントがブロック水中自重による抵抗モーメントを超過すると生じ,それは越流水脈が対象ブロックの下流端付近以深に衝突する場合に生じることがわかった.