土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
津波浸水を考慮した避難経路および避難所選定ツールの開発
北村 福太郎稲津 大祐池谷 毅岡安 章夫
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2018 年 74 巻 2 号 p. I_391-I_396

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抄録

 南海トラフ地震津波の暴露地域は広く,抜本対策には長期を要する.よって人的被害軽減には,現状の避難所や道路を有効活用した避難経路の設定と,自治体等による住民への適切な避難所割り当てが重要となる.本研究では津波避難について,従来の避難所までの最短経路ではなく,あらかじめ想定する津波に遭遇する箇所を迂回する経路設定と,同経路を考慮した避難所割り当てができる数値計算モデルを開発した.高知県の一部地域を対象に適用性検証を行った.災害の不確実性を考慮するため複数の津波を作用させ,津波の生起頻度を考慮した被災者数の期待値を求めた.期待値を最短経路での避難と比較した結果,津波遭遇箇所を迂回する経路選択が被災者数減少に有効で,被災者が多くなる状況で特に効果が高いこと等を示し,本モデルの有用性を示した.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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