2018 年 74 巻 2 号 p. I_421-I_426
津波避難経路の安全性を高めることを目的に,南海トラフ巨大地震津波によって震度7,津波高5mが想定されている徳島市津田地区でブロック塀の安全点検を行った.その結果,総延長約100kmの道路に2,048件のブロック塀を確認した.また震度7,液状化などで全てのブロック塀が倒壊した場合には,6%の道路が閉塞されることがわかった.そこで,住民に自宅のブロック塀の安全点検の希望者を募ったが33件しか応募は無かった.この一因には,日ごろの近所づきあいへの遠慮もあることが示唆された,ARCSモデルを用いて,今後有効となる対策について考察したところ,(1)まず児童生徒の通学路を指定し,ブロック塀対策を行うこと,(2)安価なブロック塀の対策方法を示すこと,(3)塀と周辺とを配慮した場合に創出される景観を仮想体験してもらうことを提案することができた.