2018 年 74 巻 2 号 p. I_7-I_12
大型船舶の航行により生じる航跡波が小型船舶の荷役稼働率の低下や操船性・安全性に悪影響を及ぼすことがあり,新しい観点の港内静穏度解析手法を開発していく必要がある.そこで本研究では,直線及び屈曲航路に対する航跡波の平面造波実験を実施し,平面2次元場に拡張した航跡波造波モデルによる実験結果の再現性を検討した.この結果,水深フルード数Fh=0.8程度のとき放物線近似及びLewis近似はともに,直線航路及び屈曲航路内側で計測された波形,最大波高を比較的良く再現した.また,Lewis近似は同じ補正係数を用いて水深フルード数による最大波高の変化も比較的良く再現した.一方,両モデルとも屈曲航路外側で計測された最大波高を過大に算定する傾向がみられた.旋回時の航跡波に対する造波モデルの高度化が今後の課題である.