2018 年 74 巻 2 号 p. I_85-I_90
指宿港海岸では,突堤,離岸堤,護岸,養浜を組み合わせた面的防護工法による整備が進められている.これらの施設を整備するにあたって,地域の重要な観光資源である「天然砂むし温泉」を含む温泉地下水環境の保全が重要な課題となっている.本研究では,養浜が温泉地下水に及ぼす影響を評価することを念頭に,潮汐に伴う温泉地下水の変動特性を把握することを目的として地下水位と温度に関する4季の連続観測を行った.観測結果は,平面的かつ断面的に整理し,経時的な変化を把握した.その結果,上げ潮の時間帯では,温泉水の下に海水が浸透し,砂浜内部の温泉水が陸側に押し上げられる様子を確認した.下げ潮の時間帯では,温泉水が砂浜内部の表層を流下する様子を確認した.