2019 年 75 巻 2 号 p. I_1-I_6
わが国の数多くの港湾海域で使用されている直杭式桟橋は,供用後の時間の経過とともに塩害劣化が深刻化している.本研究では,塩害劣化の一因であると考えられる静穏時波浪によって発生する飛沫に着目し,直杭式桟橋の前面における飛沫の発生条件を明らかにすることを目的として,水理実験および数値解析を実施した.水理模型実験では,鉛直壁面において飛沫が発生する場合と,円柱の背後で表面波が交差する収束点において飛沫が発生する場合があることが明らかになった.数値計算では表面波の収束現象を再現することの可能性を示すとともに,波浪や構造諸元による収束点の発現位置の変化についても推定が可能であることが明らかになった.