2019 年 75 巻 2 号 p. I_1075-I_1080
環境DNAを活用した海草場のモニタリング手法の開発に向けて,海草から放出される環境DNAに関する基礎的特性を把握することを目的に,定期的に海水を交換している水槽に生育するアマモを対象として8か月間,週2日の採水とDNA分析を行った.アマモは,夏場に枯死期となり生物量(草丈,密度)が減少し,冬場の発芽期以降に生長するが,環境DNA分析においても枯死期にDNA量が減少し,発芽期以降にDNA量が増加した.また,実海域における調査では,1年前のアマモ場調査と生育状況(草丈,密度)が異なり生育の遅れを確認し,環境DNA分析結果において低いDNA量となり1年前との差が得られた.eDNAを活用した海草場モニタリングによる広範囲の海草場の経過観察によって,海草の消失や分布変化等の速やかな情報入手を実現できる可能性が明らかとなった.