2019 年 75 巻 2 号 p. I_199-I_204
1993〜2017年の25年分の全球3次元海洋診断データARMOR3Dに対してwinding angle法に基づく渦抽出・追跡アルゴリズムを適用し,日本沿岸の黒潮域周辺における切離中規模渦の挙動を解析した.黒潮流軸と渦の距離や相対渦度履歴を用いて,黒潮続流から切離する中規模渦およびその後黒潮に再衝突する渦を自動抽出することに成功した.切離渦の発生に対しては北太平洋規模の中期的な気候モードに対応した黒潮続流の強度や安定性の影響を強く受けること,Rossby波として西方伝播した切離渦は,黒潮に再衝突した際には黒潮流軸に作用し,沿岸域を含む広範囲で海洋構造を変化させることなどが示された.