2019 年 75 巻 2 号 p. I_271-I_276
2018年8月後半から9月にかけて,四国から紀伊半島付近に3個の台風(20号,21号,24号)が接近した.和歌山県田辺湾の湾口に位置する田辺中島高潮観測塔では,台風21号,24号の接近時に高波浪が観測され,海面上10mに設置された計測機器が被災するなどした.台風21号接近時には有義波高は最大9.60m,24号の際には波高計が被災したため台風通過後のデータが欠測となったが,台風接近前の最大値は11.09mに達した.いずれの場合も高波浪となった期間の前半はうねり成分が卓越し,観測塔付近の風向が190度を超えて吹送距離が長くなった後には風波成分が発達し,風波成分とうねり成分が重畳して高波浪状態が継続される状況が確認された.