2019 年 75 巻 2 号 p. I_343-I_348
海溝軸付近における地殻変動の水平変位が津波の初期水位分布に及ぼす影響を把握するため,実際の現象を模擬した水理実験及び解析を実施し,その比較検証結果から解析手法の適用性を確認した.水理実験及び解析の結果,水深が浅く,速度を大きくするほど最大水位が高くなった.最大水位の発生位置は,いずれも可動式斜面の中央部付近で発生した.水理実験のデータを基に,最大水位が高くなる条件検討のため無次元化による傾向分析を行ったところ,無次元ライズタイムを推定することで最大水位をある程度予想できると考えられる.また,水理実験と解析の結果を比較したところ,最大水位は解析の方が小さく,さらに,解析では地殻変動の水平変位による海底面の鉛直変位への寄与分が水位として現れるまでの時間差が考慮できていないことが分かった.