2019 年 75 巻 2 号 p. I_37-I_42
指宿港海岸では,海岸構造物に養浜を組み合わせた面的防護工法による整備が進められている.施設整備にあたっては,地域の重要な観光資源である「天然砂むし温泉」を含む温泉地下水環境の保全が重要な課題となっている.本研究は,養浜が温泉地下水に及ぼす影響を定量的に把握することを目的として,試験養浜を実施し,温泉地下水の水位や砂中温度に及ぼす影響について現地観測を行ったものである.
その結果,護岸背後地や養浜範囲周辺の砂浜では,養浜の影響による地下水位の有意な変化はなかった.一方,養浜範囲の砂浜では養浜前と比較して地下水位の上昇と砂中温度の上昇といった顕著な変化が生じることを確認した.