土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
極域の不安定成層を考慮した風波の発達特性に関する実験
小笠原 敏記増田 健太菅原 圭吾
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_55-I_60

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抄録

 極域のような鉛直温度勾配の強い温度成層の状態を生成させることが可能な風洞水槽を用いて実験を実施した.実験より得られる波高や可視化データなどを基に,中立成層から不安定成層までの温度成層が風波の発生・発達機構にどのような影響を及ぼすのかを検討した.鉛直温度勾配があるような温度成層の状態において,風波の発達過程に大きな違いが生じることを明らかにした.特に,中立成層と比較して不安定成層では,波高および流速が共に3倍程度増大し,吹送流および波動成分の運動エネルギーが有義波高の2倍程度の深さにまで及ぶことがわかった.すなわち,将来的に極域の海氷域における氷の融解が進行すれば,これまでに観測されないような高波浪な風波の発生が高まることを裏付ける結果である.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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