2019 年 75 巻 2 号 p. I_625-I_630
沿岸漂砂の実態と機構を明らかにすることを目的とし,沿岸方向に側壁による反射の影響を受けない円形造波水槽を製作し,水理模型実験を行うとともに,実験水槽をモデル化し数値解析を行った.実験結果から,砕波を含めた波動場に対する安定地形が形成されるまでは岸沖漂砂が卓越し,地形が安定し砕波を含む波動場も安定してくると砕波点付近であるバーを中心に沿岸漂砂が卓越することが推察された.数値解析結果から,戻り流れと砕波にともなう岸向き流れの合成によって流れがトラップされ沿岸流は発達し,特にこの相互作用が周期的に一致した時に沿岸流は卓越すると推察された.以上から本研究では,ケース数も限定的かつ水槽の規模も小さいものの,沿岸漂砂の実態と機構を研究する際に円形水槽が有効なツールであることが確認された.