2019 年 75 巻 2 号 p. I_91-I_96
本研究では,Gaussian Mixture Modelを用いて日本沿岸で観測された方向スペクトルの多峰性の解析を行った.方向スペクトルの多峰性および風波・うねりの出現率について実測データに基づいた定量的な評価を行い,その季節・海域特性について検討した.その結果,多峰性については,全波浪または高波浪いずれの条件においても単峰性の方向スペクトルが50%以上を占め,特に高波浪条件下の秋田では単峰性の風波が90%以上を占めることが分かった.風波・うねりの出現率については,冬季の東北・日本海側で見られた単峰性の風波の出現率の明瞭な増加は,八戸を始めとする太平洋側の地点では見られず,これらの地点では年間を通じてうねりの出現率が卓越するなど日本海側と太平洋側で異なる傾向を確認した.