2020 年 76 巻 2 号 p. I_277-I_282
北海道十勝沖地震津波(2003年)や東北地方太平洋沖地震津波(2011年)の被災範囲が広がった原因のひとつとして,大陸棚地形における沿岸方向に伝搬する津波エッジ波の生成が指摘されている.2017年には活断層の存在が確認されていない鹿児島湾中央西部のJX喜入石油備蓄基地沖合を震源とするM5.3の地震が発生した.そこで本研究は鹿児島湾内で発生する直下型地震を対象に震源位置を含む断層パラメータの検討を行い,次に3次元数値流体ライブラリを使用し陸棚地形における津波波高と津波エッジ波の生成について検討を行った.その結果,鹿児島湾中央西部沿岸域においてはエッジ波の分散関係を満たす箇所があり,定常波性エッジ波と進行波性エッジ波の発生の可能性があることがわかった.