2020 年 76 巻 2 号 p. I_385-I_390
津波は土砂を含んだ場合,通常の海水に比べて密度が増し,波力が増大することで,建造物等に大きな影響を及ぼすと考えられている.宮城県気仙沼市に残っていた東日本大震災時の津波の水を調べたところ,含まれる土砂の中央粒径は6.74µmと多くはシルトに分類されるような細かいものであった.既往の土砂混じりの津波の波力や氾濫水密度,シルトを含む津波の波力を明らかにした研究はないため,本研究では土砂やシルトを含んだ津波に関して実験を行い,密度や水面角度,波力の大きさ等を比較,波圧係数による検討を行った.その結果,フルード数が同じであっても土砂が混じることで相対的に波圧が増大する可能性があることが示された.