2020 年 76 巻 2 号 p. I_43-I_48
これまでにフリーク波に代表される線形理論と統計的に異なる特性を持つ極大波の深海域における出現特性やその予測理論の構築・検証について数多く行われてきた一方,浅水変形領域から砕波帯を含めた浅海域における非線形性の振る舞いやそれに起因する極大波の出現特性についてはその検討事例が少なく未だ明らかとなっていない部分が多い.そこで本研究では,勾配の異なる一様斜面地形を模擬した水理模型実験を行い,海底斜面上の非線形性の振る舞いや極大波の出現特性について検討を行った.その結果,最高波高の出現に関連の深いkurtosisの浅海域における振る舞いはskewness変化に追随したものであり,砕波形式によりその特性が変わること,斜面上では3次の非線形性で4波準共鳴相互作用により発達するkurtosisの最高波高の期待値への依存性が弱くなることが示された.