2020 年 76 巻 2 号 p. I_937-I_942
宮城県の万石浦を対象に2011年東北津波の津波土砂移動数値計算を行い,津波最大流速とアマモ場の被害率の関係から,流れ以外の要因によりアマモ場が被災している可能性を示唆する傾向が確認された.そのため,津波最大流速ごとに地形変化(土砂堆積,海底侵食)とアマモ場の被害率との関係を調べ,地形変化の影響を分析した.津波最大流速1~3m/sでは土砂堆積量及び海底侵食量とアマモ場の被害率との間に強い関係性が確認され,津波時の地形変化に起因して被災したアマモ場があると推察された.津波最大流速1m/s未満及び3m/s以上では両者の間に明確な関係性は確認できず,地形変化の影響の大きさを判断するにはさらに分析が必要であったが,アマモ場の津波被害を適切に評価するために地形変化の考慮が必要であることが分かった.