2021 年 77 巻 2 号 p. I_379-I_384
本州東岸の沿岸海域は黒潮や親潮,津軽暖流等の多様な水塊で形成される混合水域と呼ばれ,北太平洋の海洋環境および生態系に影響を及ぼしていると言われている.そこで,本研究では領域海洋モデルROMSを用いて本州東岸の混合水域における水塊構造の詳細な分布や季節変動を明らかにすることを目的として解析を行った.従来までの方法では困難であった沿岸域や表層における水塊分析を,標準化したTSダイアグラムの座標上の距離をもとに行う方法を開発した.その結果,津軽暖流は季節によって流速が変化し,親潮水塊の流入に強く影響を及ぼしていた.その影響によって親潮の南限緯度が変化することが確認された.また,冬季から春季には,鹿島灘沖で津軽暖流と黒潮が渦を伴いながら混合する様子が顕著に現れていた.