土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
大気海洋波浪結合モデルを用いた台風Haiyanの擬似温暖化実験
二宮 順一竹見 哲也森 信人
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_985-I_990

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抄録

 気候変動に伴った大気海洋環境場の変化による将来台風の変化に関して,土木工学的に整合性の高い手法に基づいた知見を得るため,CMIP5のAOGCMの3次元大気海洋温暖化差分を解析し,台風Haiyanを対象とした擬似温暖化実験に適用した.CMIP5の海洋の温暖化差分は表層混合層において2.6-2.9℃の上昇を示し,流速にはほとんど変動はなかった.擬似温暖化実験は大気海洋波浪結合モデルCOAWSTを用いて行われ,過去気象場における台風はJTWCのBest Trackをよく再現した.将来気象場における台風は,過去気象場における台風に比べて最発達時に中心気圧が約34hPa低下し,最大風速は約12m/s上昇した.結合計算で得た水位上昇量の差は中心気圧変動による吸い上げ効果分に相当した.台風通過に伴った海水温の変動は過去,将来間でほとんど変化がなく,表層水温上昇によって台風が強化される結果となった.

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