2022 年 78 巻 1 号 p. 1-16
自治体が高潮ハザードマップを作成する際に従う「高潮浸水想定区域図作成の手引き」では,対象海域において最も大きな最大高潮偏差を引き起こす台風の経路(最悪経路)の決定が求められる.最悪経路の探索には基準経路を少しずつ平行移動・回転させ網羅的に探索を行うグリッドサーチが一般的である.しかし,本手法は経路の形状自体は変化させないため,表現できる経路が限定的であり最悪経路の探索として不十分な可能性がある.経路表現の自由度を上げれば検討できる経路の幅は広がるが,高い自由度の経路探索をグリッドサーチで行う場合,計算コスト面で現実的でない場合もある.本研究では,経路表現に高い自由度を課し,より危険な台風経路を探索することを目的として,ベイズ最適化を用いた効率的な経路探索法を提案し,手順と手法に工夫を施した.