2022 年 78 巻 2 号 p. I_127-I_132
海岸の長期的なモニタリングへの活用を目的として,海岸に設置されたカメラの画像に深層学習を適用し,波浪の推定を試みた.三重県の七里御浜井田海岸,茨城県の波崎海岸の画像に,NOWPHASより得られた波浪情報をラベル付け,各波浪情報と画像の撮影方向による推定精度を比較した.その結果,既往研究において良好に推定できた波の打上高に加え,有義波高を良好に推定することができた.また,海岸ごとに有義波高の推定に適した画像の撮影方向が異なることが示された.機械は有義波高を過小評価する傾向があるものの,波の入射方向とは異なる方向を捉える画像や複数の撮影方向の画像を用いることで過小評価の傾向が改善し,推定精度を向上させる可能性が示唆された.潮位を入力データとして扱うことは機械の推定精度に大きな影響を与えなかった.