2022 年 78 巻 2 号 p. I_283-I_288
過去津波に基づく決定論的な津波想定だけでなく,多数の津波シナリオを考慮する確率論的アプローチによるハザード評価がなされつつある.津波の襲来が懸念される海岸において,外力だけを考慮して防護水準を決めて堤防の嵩上げをすると,日常生活や生業,海岸の利用に影響が及ぶ可能性がある.本研究では,徳島県沿岸を対象に確率論的津波ハザード評価手法を用いて最大浸水深を評価し,後背地の人口や企業立地の将来変化を考慮した上で海岸堤防の嵩上げについての費用便益分析により経済性照査を行い,海岸堤防高さをアセスメントした.検討の結果,人口資産が集積し産業が発達している,かつ防御水準の低い地域では,堤防整備による純便益が正になることが示された.また,L1津波高に満たない暫定的な高さでの嵩上げ整備でも,便益が期待できる地域があることが確認された.