開発工学
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Ken-技術とKen-マテリアル
柳田 博明山吉 恵子
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1998 年 17 巻 1 号 p. 2-5

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抄録

市民、社会の技術への不信感は技術を簡明に再構築するしか拭う方法はない。技術を簡明にするための提言が簡明な技術すなわち、Ken-技術である。技術を簡明に構築し直すことによって市民は主体的に技術に関与できるようになる。これがテクノデモクラシーである。
技術の基盤は材料にある。簡明な技術を可能にする材料開発のコンセプトが賢材すなわち、Ken-マテリアルである。両者に共通なKenという発音を持っ漢字には、賢、建、検、兼、健、倹、圏がある。これらの漢字がKen-技術およびKen-マテリアルの要素を示す。
賢は自己診断等の自律性を示す。他の複雑化を誘引する技術の付加なしに賢さを持つ、ということである。建と検、そして兼は一つの手法で構造材料の特性向上 (建) と損傷の自己診断のような機能性 (検) を獲得できる融合化 (兼) が可能であるという設計思想を示す。健と倹そして圏は、市民の主体的関与を可能にする「健」全な技術は、徹底的に複雑さを排除するという (倹) に象徴される哲学によって達成され、市民の関与あってこそ環境保全 (圏) に資する技術となるということを示す。
本稿では、「Ken-技術とKen-マテリアル」のコンセプトに沿って活動している賢材研究会、簡明技術推進機構の活動について紹介する。
Ken-技術そしてKen-マテリアルによってこそ21世紀は存在しうる。

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