海の研究
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総説
海洋学の10年展望(Ⅱ)
―日本海洋学会将来構想委員会化学サブグループの議論から―
神田 穣太 石井 雅男小川 浩史小埜 恒夫小畑 元川合 美千代鈴村 昌弘本多 牧生山下 洋平渡邉 豊
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2013 年 22 巻 6 号 p. 219-251

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抄録

化学海洋学を中心とする視点から,海洋学の過去10年程度の研究の進展を総括するとともに,今後10年程度の期間でわが国として取り組むべき研究の方向性について論じた。物質循環は依然として海洋学の主たる研究対象である。海洋における物質の定量は化学系の海洋観測の基本であるが,センサーを搭載した各種の能動型のプラットフォームにより海洋物理系の観測並みに高い時空間解像度を目指す方向が大きな柱になりつつある。一方で,このような高密度観測を補完するプロセス研究の重要性も指摘された。この両者の相互連携の仲立ちとしてモデルの役割が位置づけられ,また両者の連携による研究進展における新技術の導入および技術開発へのフィードバックの必要性が議論された。物質動態の可視化に不可欠なセンサーおよびプラットフォームの現状と展望,プロセス研究の対象となる未解明部分の例示,両者を統合した今後の物質循環研究のあり方とモデル海域の順で,研究基盤との関わりも含めて展望した。

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© 2013 日本海洋学会
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