2018 年 27 巻 2 号 p. 97-123
海洋大循環モデルを用いて,風応力時間一定の下で長期シミュレーションを行ない,北太平洋亜熱帯循環(ST)域の海洋独自に発生する長周期変動を調べた。ST域での経験直交関数解析から,空間モード1は黒潮続流の流軸の南北移動のモードで,空間モード2と3はST域内を7~8年の長周期をもって西南西の方向へ伝播する傾圧ロスビー波海盆モードであることが示された。STおよび黒潮再循環と黒潮続流再循環の強さの7~8年周期の長周期変動は,互いにラグ相関関係のあることが分かった。7~8年周期の変動の発生源として,黒潮続流が通過しているシャツキー海台の存在が重要であり,周期を支配しているのは,それらの相互作用によって生み出されたST系の傾圧ロスビー波海盆モードと考えられる。この長周期変動は,STにおける海洋独自に発生する自律的な現象であり,その周期現象が現実にも起こっている可能性がある。