海の研究
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原著論文
津軽海峡シル地形上の海面にストリーク帯を形成する内部波の観測とモデル実験
山口 卓也磯田 豊伊藤 海彦向井 徹小林 直人
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2020 年 29 巻 3 号 p. 71-90

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抄録

成層期の津軽海峡西口付近における合成開口レーダ(SAR)の人工衛星海面画像には,2~3 本のストリーク帯(同一水塊内の海面収束帯)を伴う内部波群が映し出され,その波長は数100 mのオーダであった。このような内部波群のほとんどは,浅いシル(海堆)地形付近で観測された。シル上に捕捉されたようにみえる内部波群の経時変化を捉えることを目的に,2017年の夏季,高周波計量魚群探知機を用いた25時間連続観測を実施した。得られた音響画像は,海峡通過流強化時期のシル下流側において,全振幅が150 mを超える内部波群が遷移的に発達する様子を示した。内部波群は連なった2~3 本のストリーク帯で構成され,そこでは強い沈降流で生じたと思われる非常に乱れた海面状態を呈していた。シル上で発達する内部波の力学過程を調べるために,水平移流の影響や有限振幅波が表現できる非線形項を含む非静水圧モデルを用いた。モデルの密度成層及び強制力である順圧海峡通過流の経時変化は,本観測に近い状況を設定した。モデル再現の結果,フルード数が臨界点となるシル下流側付近では,シル東端斜面上で励起された上流伝播する内部波が同海域に停滞して効率的に重なり,内部波振幅の顕著な増幅を引き起こしていることが推測された。ただし,この力学過程では大振幅まで波が成長しても内部ソリトン波の構造を示さず,波の強い分散性よる散乱現象がむしろ支配的と思われる。

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