日本海洋学会誌
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大気乱流から水波への運動量輸送過程のモデル
藤縄 幸雄
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1974 年 30 巻 3 号 p. 97-107

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抄録
フィールドにおける波の測定結果によると, 波の発達率は, MILES (1957) の理論によって予想されるよりも数倍大きい. その理由の一つとしてMILESの理論では, 乱流と波によって誘起される気流変動との相互作用が無視されていることが考えられる. 実験室の測定によると, 波によって誘起されるレイノルズ応力の変動はかなり大きい. 又, 波誘起流と乱流との干渉を量的に見積もろうとする試みも現在いくつかある.しかしながら, それ等はすべて現象論的な仮定に基づいている.この論文では, 波誘起流が乱流場に及ぼす作用が “速い” として乱流場がどのように変形されるかを算定する. ここに “速い” とは, 乱流成分がいくつかの波を通過する間に乱流の状態が慣性や粘性の影響を受けて著しくは変三らないという意味である.
このような機巧によって波の表面に生ずる圧力変動を無次元係数を用いて表現した. 乱流場の速度の微分の棺関関数をいくつかの根拠の下に仮定して, 圧力係数α', β'を求めた田その結果, 各種パラメーターの値のもっともらしい範囲で, 波の増幅率は実際に観測さされている値に一致しうることが明らかになった.
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