抄録
相模湾に設置した11Fレーダーの観測結果に基づいて,大島西水道から黒潮系噴水が流人した場合の相模湾表層循環流の空間構造とその変動特性について検討した。本観測期間中,黒潮流路は基本的に非大蛇行離岸流路型であったが,典型的大蛇行流路型に近い流路をとる場合,黒潮系噴水が大島西水道から湾内へ流入し,湾中央に反時計回り,大島北東部に時計回りの循環流が形成される。この時,黒潮前線は北東-南西方向の風により生じるエクマン輸送の働きによって,10日前後の周期で小規模な(10~15km)離接岸を繰り返す。この小規模な離接岸は大島西水道からの暖水流入の強度を変化させ,その結果,湾内のニつの循環流も10日前後の周期で盛衰を繰り返す。さらに,噴水流人が強化され循環流が発達した場合には,噴水の一部が東京湾湾口部にまで到達し,湾口部において沿岸フロントが形成される。