化学工学論文集
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触媒,反応,反応器設計
ポリエチレングリコールを触媒とした固液相間移動触媒反応系におけるハロゲン交換反応およびエステル生成反応の速度
井土 忠厚伊藤 旬晋 工後藤 繁雄
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2004 年 30 巻 4 号 p. 480-487

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抄録
本研究では, 相間移動触媒を無水固液間反応に利用した. 有機相中の塩化ベンジルと固体反応物の臭化カリウムとの固液間ハロゲン交換反応を, 323 Kおよび353 Kで行った. また, 塩化ベンジルと安息香酸ナトリウムとのエステル生成反応も353 Kで行った. 平均分子量の異なる種々のポリエチレングリコールを触媒として用いた. これらの反応を無水で行った場合, ポリエチレングリコールから成る液相が有機液相および固相の間に形成した.
無水の場合のハロゲン交換反応の速度は, 水がある場合の18倍となった. さらに, 反応に必要な臭化カリウムの量は, 水がある場合よりもかなり少なくて良かった. 無水の反応速度は, ポリエチレングリコールの平均分子量400で最大となった. これを塩化ベンジルのポリエチレングリコールへの溶解度が分子量の増加とともに増加し, 臭化カリウムは減少することにより説明した.
無水の場合のエステル生成反応の速度は, 水がある場合の9倍となり, ポリエチレングリコールの平均分子量200で最大となった.
以上の結果から, これら二つの無水固液間反応は, 固体反応物と有機相中の液体反応物がポリエチレングリコールを含む液相に溶解することにより起こると結論した.
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© 2004 公益社団法人 化学工学会
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