廃棄物系バイオマスである卵殻膜および羽毛を吸着剤として用いた貴金属の分離について検討した.タンパク質を多く含むこれらのバイオマスは,Au(III),Pd(II)およびPt(IV)の貴金属イオンに対して選択的な吸着能を有し,貴金属イオンの分離回収に利用可能であることが明らかになった.タンパク質高含有の卵殻膜が羽毛に比べて高い吸着能力を示し,卵殻膜についてはpH 5以下の領域でAu(III)イオンに対して高い吸着能を示すことがわかった.その吸着挙動は卵殻膜に含まれるタンパク質とAu(III)イオンの錯形成が大きく関わっており,水溶液中のAu(III)イオン種に影響されることが示唆された.