化学工学論文集
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移動現象,流体工学
鮮明な流脈線の可視化法
橋本 俊輔西川 達哉新野 純一西村 亮俊井上 義朗
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2011 年 37 巻 6 号 p. 490-495

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抄録

撹拌槽内の層流による混合パターン形成は,撹拌翼の先端から伸びる流脈線によって規定され,混合パターンの輪郭は,時間とともに流脈線形状に近づくことが知られている.そのため,流脈線の正確な形状把握は,混合機構の解析に重要な手がかりを与える.良混合を生み出すカオス的な流れ場では,流体軌跡は特定の方向に指数関数的に広がる傾向がある.そのため,実験で可視化された流脈は,その方向に急速に面状に広がり,線としての流脈の可視化が困難となるため,流脈線に基づく混合解析を妨げる大きな要因となっていた.本研究では,撹拌槽内のような3次元流れ場においても,鮮明な流脈“線”を可視化することのできる新しい実験手法を開発した.その特徴は,流脈となる可視化液中に特殊な界面活性剤を添加することにより,流脈の広がりを抑制したことにある.これにより,撹拌翼の羽根先端から伸びる鮮明な流脈線の可視化が可能になった.本手法で形成された流脈線は,長時間にわたって線の形状を安定に保つだけでなく,分子拡散効果による流脈液からの着色成分の漏出も少ないことがわかった.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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