2013 年 39 巻 3 号 p. 256-264
イノベーション・エコシステムの確立が,文部科学省による「イノベーション促進のための産学官連携基本戦略」の中で提唱されている.イノベーションはホリスティックであり,そのシステムを確立していくためには,総体的な研究アプローチが必要であり,研究開発マネジメントが求められている.
本研究では,このような研究アプローチを支援する仕組みとして,プロジェクト&プログラムマネジメント(P2M)の導入と具体的な研究支援ツールであるロジックモデルとバランススコアカードを利用した,研究計画支援システムを提案する.このシステムを4年間大学の研究室における工学研究に導入した結果,研究発表数,研究論文数等研究業績の向上に効果が見られ,また大学で研究する学生の研究力向上に効果が見られた.さらに産学官連携研究にて,両ツールが複数技術の統合化や,ステークホルダ間の利害調整に重要な役割を果たすことが示唆された.