2014 年 40 巻 5 号 p. 438-442
本研究では,バイオマスとして廃棄処分されている焼酎粕の有効利用の一環として,麦焼酎粕から得られた抽出物(麦焼酎粕パウダー)の免疫賦活効果についてin vitroで検討した.麦焼酎粕パウダーは,ヒトナチュラルキラー(NK)株化KHYG-1細胞に対して,活性型のNKレセプター(NKG2D)の発現を誘導することが明確になった.さらに,麦焼酎粕パウダーは,NK株化細胞に対して,白血病細胞および肝臓がん細胞に対するNK活性を有意に高めた.一方,麦焼酎粕パウダーを白血病細胞に加えて72 h培養したところ,NKG2Dリガンドの発現の誘導が認められ,NK活性の感受性を有意に増大させることを示した.これらの結果から,麦焼酎粕パウダーによるNK活性増強効果およびNK感受性の増強効果がin vitroで明らかになった.