2015 年 41 巻 5 号 p. 305-308
オンサイト型酸素製造装置の開発を狙いとして,アニオン交換膜を用いて常温常圧条件で,電気化学的に空気中から酸素を分離精製する手法を検討した.水溶液中で一般に使用されるアニオン交換膜が,酸素ガス分離膜として機能するためには膜がイオン選択透過性を持つ必要がある.濃淡膜電位の計測と通電試験から,アニオン交換膜中の移動イオンは水酸化物イオンであり,空気から酸素を電気化学的に分離可能なことを見出した.過電圧の低減にはカソードへのアルカリ添加が有効であり,約2.0 Vの電圧において1000 A·m-2の電流密度を得た.