比表面積と熱伝導率が高くかつ圧損が小さい発泡金属(メタルフォーム)に,熱伝導率の高いナノ流体を満たすことで,高い伝熱促進が実現できる.この伝熱促進のメカニズムを探るには,ナノ流体に特有なブラウン拡散と熱泳動に加え,多孔質体に特有な機械的分散(熱分散と粒子分散)のそれぞれを把握し,かつ,これらの相乗効果を把握する必要がある.本研究ではナノ流体で満ちた発泡金属多孔質体内の熱流動に適用し得る局所体積平均支配方程式群を導いた.さらにナノ流体で満ちた発泡金属充填流路の数値モデルを提案し,微視的数値計算を実施した.これらの微視的計算結果を局所体積平均することで,機械的分散係数を決定した.熱分散項の相関式におけるナノ粒子の体積分率の効果は限定的であること,熱分散項およびナノ粒子の機械的分散項間にアナロジーが成立すること,金属界面から加熱されるナノ粒子の質量流束は界面熱流束が高くなるほど大きくなることなどを明らかにした.