化学工学論文集
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反応工学
触媒一体化水素分離膜モジュールの開発と都市ガスの水蒸気改質による水素製造
白崎 義則 佐藤 剛史伊藤 直次常木 達也西井 匠黒川 英人安田 勇島森 融高木 保宏彦坂 英昭田中 裕之
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2017 年 43 巻 5 号 p. 336-341

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抄録

天然ガスからの水蒸気改質器にPd系水素分離膜を組み込んだメンブレンリアクターの概念を適用した水素分離型リフォーマー(MRF: Membrane reformer)は,一つの反応器で改質反応と水素分離を同時に行い,化学平衡の制約を逃れた反応促進が可能なため,シンプル,コンパクト,高効率な水素製造技術として期待される.我々は,水素分離型リフォーマーのさらなるシンプル化,コンパクト化を目的として,触媒機能を付与した支持体とPd合金製水素分離膜が一体となった新しいコンセプトの水素分離膜モジュールである触媒一体化膜モジュール(MOC: Membrane on Catalyst)を開発し,都市ガスの水蒸気改質による水素製造性能の評価を行った.

Ni担持多孔質YSZ管(外径10 mm,長さ300 mm,肉厚1 mm)に,無電解めっきによって膜面積93 cm2,膜厚7.3 µmのPd–Ag合金膜で被覆した触媒一体化膜モジュールを作成し,547°C,反応圧0.9 MPa,水素透過側圧0.04 MPaの条件で都市ガスの改質試験を行った結果,原料ガス流量3.0 N cm3/(min·cm2)に対して11.4 N cm3/(min·cm2)の水素製造量が得られた.この結果から,MOCが従来の固定床触媒充填型の膜改質装置と同等の性能を有しており,水素製造用の水素分離膜モジュールとして十分利用できることが明らかになった.

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© 2017 公益社団法人化学工学会
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