2018 年 44 巻 1 号 p. 67-70
筆者らは微粒子分散水溶液を用いたWater/CO2(W/C)エマルションの噴霧を用いた新規の粉体製造手法を開発してきた.本手法は,高Re数乱流場による不安定なエマルションおよびCO2の断熱膨張によるJoule–Thomson効果を利用することで,高い生産性を保ちつつ凝集を制御可能なプロセスであることが確認されている.しかしながら,噴霧前つまり高Re数乱流場におけるエマルションの分散状態は不明であり,噴霧前の液滴径がどの程度維持されるのかについての実験的評価は困難であった.本報では高Re数乱流場におけるW/Cエマルションの観察が可能なセルを作製し,ハイスピードカメラを用いることでこのエマルションの可視化を行った.実験結果より噴霧前のエマルションは合一することなく存在し,さらに最終的に生成される粉体径との関係を解析することで,エマルションに含まれる微粒子がそのまま粉体の一粒子として保存される可能性が示唆された.