化学工学論文集
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材料工学,界面現象
無機水和塩系融液の融点降下特性における共通性
渡邉 裕之 平沢 泉
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2019 年 45 巻 2 号 p. 91-99

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抄録

潜熱蓄熱材として利用が期待される炭酸ナトリウム10水塩(融点Tm,0=304.5 K, 潜熱量ΔHf,0=153 kJ/kg, ともに実測値)および炭酸ナトリウム10水塩0.6 mol/molとリン酸水素二ナトリウム12水塩0.4 mol/molとの水和塩共晶(E(P–C);融点Tm,0=298 K, 潜熱量ΔHf,0=213 kJ/kg, ともに実測値)の2種水和塩系に対し,その融液に溶解可能な添加物を混合した系について,融点Tmおよび潜熱量ΔHfの変化を測定した.簡易的な実験式を用い,各添加物の融点降下能力ameおよび潜熱量低下能力bmeを数値化した.これら能力の数値は添加物ごとに異なったが,能力比率bme/ameは添加物の種類によらずほぼ同じ数値となって,水和塩系それぞれの固有値を示した.さらに,前報(Watanabe, 2017)およびその続報(Watanabe and Hirasawa, 2018b)で得られた塩化カルシウム6水塩系およびリン酸水素二ナトリウム12水塩系の各bme/ame値もあわせて比較検討した結果,水和塩単体のTm,0およびΔHf,0でそれぞれ規格化した相対融点降下度[1−(Tm/Tm,0)]と相対潜熱量低下度[1−(ΔHf/ΔHf,0)]との間には,水和塩系の種類に依存しない下式で表されるほぼ一定の数値関係が成立することがわかった.

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© 2019 公益社団法人化学工学会
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