化学工学論文集
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環境
排気処理プロセスの加熱処理が活性炭の超臨界CO2再生に与える影響
伊藤 康孝 宇敷 育男佐藤 善之猪股 宏
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2019 年 45 巻 3 号 p. 133-139

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抄録

本研究では,半導体製造実プロセスでの排気処理装置において逐次加熱処理されながら利用されている活性炭を想定して,その加熱処理温度が活性炭の超臨界二酸化炭素(ScCO2)再生に与える影響について検討した.実験は,当該プロセスでの主要な溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)をあらかじめ含浸した活性炭をArガス雰囲気下において,温度200–300°C,時間1–63 hの条件で加熱処理し,TGA(熱重量分析)を用いて活性炭に残存する吸着質を解析した.PGME含浸活性炭は,加熱処理温度200°CにおいてTGAの高沸点領域(400–900°C)のピークに相当する高沸点吸着質は確認されなかったが,250°Cにすることで高沸点吸着質が確認された.PGMEA含浸活性炭は,加熱処理温度250°Cにおいて高沸点吸着質が確認されなかったが,300°Cにすることで高沸点吸着質が確認された.これら高沸点吸着質についてScCO2による洗浄除去を試みたが,前報(Ito et al., 2019)の実プロセスで使用された活性炭の検証結果と同様,高沸点吸着質の洗浄除去は困難であった.すなわち,PGMEおよびPGMEAを吸着した活性炭は排気処理プロセスの加熱処理の影響を受け,高沸点吸着質が生成・蓄積する可能性が示された.同時に,加熱処理温度を200°C程度に留めることで,高沸点吸着質の生成・蓄積を大きく抑制することができ,高効率なScCO2洗浄再生が見込める可能性も示唆された.

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© 2019 公益社団法人化学工学会
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