化学工学論文集
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反応工学
ジルコニア系固溶体触媒の高温下におけるエステル交換反応活性の評価
福村 卓也 千田 勤高橋 厚手島 暢彦二階堂 満
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2020 年 46 巻 3 号 p. 71-76

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抄録

本研究では,バイオディーゼル合成用固体触媒の開発を目的として,遊星ボールミルを用いたミリング処理と焼成処理を行って第2族金属(Mg, Ca, Sr)の酸化物とジルコニア(ZrO2)との固溶体触媒を調製し,触媒の特性と高温下でのエステル交換反応活性との関係について検討した.粉末XRD,ラマン分光分析,およびCO2とNH3をプローブ分子とした昇温脱離分析(CO2-TPD, NH3-TPD)の結果から,固溶体触媒は正方晶や立方晶を多く含有する多結晶体であり,固溶種の電気陰性度の大きさが固溶体触媒の酸性の強さに影響を与えることが示唆された.第2族金属とZrのモル比を1 : 4とした固溶体触媒存在下473 Kの条件で行った菜種油とエタノールの回分エステル交換反応実験の結果から,固溶体触媒の中で最も酸性が低いMgO–ZrO2が最もエステル交換反応活性が高かった.また,種々のMg/Zrモル比のMgO–ZrO2に関するキャラクタリゼーションの結果と回分エステル交換反応実験の結果から,MgとZrの固溶比により酸塩基特性が異なり,酸性の高い触媒の反応活性は低かった.各種実験結果より,ミリング処理と焼成処理を経て調製した固溶体触媒のエステル交換反応活性は触媒の酸性の程度に大きく影響を受けることが明らかとなった.

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© 2020 公益社団法人化学工学会
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