2020 年 46 巻 5 号 p. 176-182
ガスがすべて固体層を通過する気固接触を維持しながら,らせん軸周りの回転で粒子を輸送するコイル状らせん構造をもつ装置を提案した.ステンレス製JIS規格20Aサイズの180°ロングエルボを組み合わせ,5旋回コイル状らせんを作製した.コイルをフレキシブルヒーターで加熱して壁面を一定の温度に保ち,コイルを回転させて粒子を輸送した際の粒子の出入口間温度差と粒子の比熱および粒子輸送速度から,伝熱速度を求めた.伝熱係数はらせん回転速度増加とともに増加した.粒子の熱物性値とらせん回転速度から伝熱係数を与える実験式を得た.コールドモデルで観察したコイル内での粒子の動きから,粒子群がある一定時間壁面に接触しては離れることを繰り返すPacket renewal modelを用いて,粒子の熱物性値からコイル内壁面と粒子の間の伝熱係数を予測した.実測伝熱係数はモデル予測値の0.38–0.50倍となった.