2021 年 47 巻 6 号 p. 200-205
零度以下の環境で稼働する水素吸蔵合金を用いてヒートポンプシステムを構築し,平衡水素圧力から温度上昇を推定する方法を見出すことを目的とした.本報では,熱駆動式の水素吸蔵合金ヒートポンプを用いて空焚きおよび水加熱の昇温実験を行った.その結果,ヒートポンプの運転過程において,貯蔵水素圧力と温度上昇の2つの状態量が高い相関関係であることがわかった.温度上昇にともない平衡水素圧–合金組成–等温線図が変化する合金の性質によらず,水素圧力の変化の状態量の反応のみで温度上昇の実験値を基に予測式を作成できることを示した.また,水の加熱実験において,合金格納容器周りに水を入れたことにより水素吸蔵合金が冷却され,水素を吸蔵するための容量が保たれたことにより空焚き状態と比べて発熱量が大きくなった.