化学工学論文集
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[特集]SDGsの達成に向けた環境化学工学の役割
自立型ジオポリマー膜の作製とガス透過性の評価
阿部 雅弘野口 美由貴山崎 章弘
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2021 年 47 巻 6 号 p. 206-210

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抄録

アルミノシリケートで構成されるアモルファスな無機ポリマーであるジオポリマーを素材として,基材を用いない自立型無機多孔膜の作製を試みた.アルミノシリカ源としてメタカオリンを用い,水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムとシリカゲルおよび水を混合し,ジオポリマー構造生成のための原料ペーストとした.ペースト原料を二枚のガラス板間にキャストし,挟み込むことで膜を作製し,その後一定温度で養生することにより自立型のジオポリマー膜とした.ジオポリマーペーストの固液比,ペースト原料中のSi, Al, KもしくはNaの比を様々に変化させることでジオポリマー膜の物理的構造の制御を試みた.その結果,SiO2 : Al2O3 : K2Oのモル比が65 : 22.5 : 12.5, 原料固体と水のモル比が0.5の場合に安定なジオポリマー膜を作製することができた.作製した膜の細孔径分布は,同一原料組成の場合でも,養生温度によって異なり,養生温度が75°Cおよび100°Cの場合は,20–30 nm付近にピークを有したが,25°Cの場合には細孔径9 nmのピークと20–30 nm付近の二つのピークが見られた.作製したジオポリマー膜を通してのガス透過速度は,透過ガスの分子量の平方根の逆数と平均細孔径,空隙率の積に比例し,Knudsen拡散が支配的であることが確認できた.

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© 2021 公益社団法人化学工学会
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