化学工学論文集
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熱工学
炉内セメントクリンカー温度非接触計測のための微粉粒子群輻射物性に関する評価
板谷 義紀 永田 大昂犬飼 俊輔小林 信介中川 二彦高田 佳明
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2022 年 48 巻 3 号 p. 86-92

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抄録

セメント産業では省エネルギー・低炭素化に向けてキルン内焼成温度を品質保持限界まで低下させることが,一つの方法として検討されている.そのような温度制御のためには高精度温度計測技術が必要となる.そこで最近,非接触2色輻射(放射)温度計測原理にダストキャンセル法の概念を新たに導入して,炉内に高濃度で浮遊するセメントクリンカーダストの影響を除去して高精度計測を可能とする方式が提案された.しかし,ダストの輻射物性に波長依存性を有する場合には,温度計測原理から物性値一定を前提として換算される温度の精度が大きく低下するため,2波長での輻射物性の差異を補正する必要が生じるが,信頼できる物性データが知られていない.本研究では,クリンカーダスト微粒子群の輻射物性として減衰効率について,コールドモデルとホットモデルにより分光計測を行った.コールドとホットの両モデルで計測された減衰効率は良好な一致を示し,可視光から近赤外領域の計測条件では減衰効率の波長依存性が小さく,その物性値に与える粒子径と粒子温度の影響もほぼ無視しうる結果となった.またクリンカーを樹脂固化させた研磨面の反射率から複素屈折率を求め,Mie電磁理論により算出した減衰効率も,コールドとホット両モデルで計測された結果とも良好な一致が認められた.以上の結果は,ダストキャンセル法による輻射温度計測へ適用しうる輻射物性の波長依存性を異なる粒子径と温度パラメータにおいて高い精度で求めることができただけでなく,輻射物性値の波長依存性やパラメータの影響を考慮しない温度計測の可能性を示唆している.

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© 2022 公益社団法人化学工学会
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