化学工学論文集
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粉粒体工学
空気分級における比重選別の影響を考慮した分級評価方法—太陽光パネルセルシート粉砕物を例とした考察—
泉 健人髙谷 雄太郎所 千晴
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2024 年 50 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

本報では,空気分級における比重選別の影響を考慮した分級評価方法の確立を目的とした.多成分系粉砕物の代表として,太陽光パネルセルシート粉砕物微粒群(0.063 mm以下)を試料とした.この試料をエルボージェット分級機で三点分級し,得られた粗粉,中粉,微粉に対して,XRF組成分析,SEM画像分析,粒子径分布測定を行った.この結果,粗粉と中粉において粒子径範囲の一部が逆転する現象が確認された.これは,太陽光パネルセルシート粉砕物が多成分系であるがゆえに成分ごとの比重差の影響を受けるからである.比重が大きい銀粒子は粗粉領域に,比重が小さい樹脂は中粉領域に分配されたことで,銀と錫が選別された.本試料の三点分級の結果を粗粉,細粉の二点分級の結果に修正し,この比重選別の影響を比重選別効率と絶対比重選別効率を用いて定量的に評価した.見かけ比重選別効率は,粗粉と細粉における粒子径範囲の逆転割合を示す値である.また,絶対比重選別効率は,原料粉がもつ比重選別の影響を表す固有の値であり,この値を用いることで分級結果の予測に繋がることを示した.

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